台湾高速鉄道700T型電車輸出

日本の新幹線の技術が初めて海外に導入されることになった。このうち車輌製造は、川崎重工業、日本車輌、日立製作所が行うことになった。ここでは川崎重工車両カンパニー兵庫工場で完成した車両が貨物船によって輸出されるまでを紹介する。なお、数回の積み出し時の撮影したものを作業の順番に並び替えているため、日付が前後している部分がある。

台湾高速鉄道(たいわんこうそくてつどう 臺灣高速鐵路)は、台湾の台北と高雄とを結ぶ高速鉄道。日本として新幹線の信号・車両技術を輸出・現地導入した初めての事例。開業は2005年10月31日の予定だが、遅れやトラブルが続き、開業延期の可能性も。なお日本の新幹線技術を投入したため、日本のみならず台湾においても「台湾新幹線」と呼ばれることもある。台北-高雄間345kmを最高速度300km/h、ノンストップ80分で結ぶ計画。総事業費4600億台湾ドル(約1兆6千億円)。

台湾高速鉄道700T型電車は、台湾高速鉄道公司の新幹線車両で日本初の輸出用新幹線車両として、700系をベースに製作された。製造は川崎重工業、日本車輌製造、日立製作所が担当し、初期車全30編成が日本で製造され、輸出される。

東海道・山陽新幹線で運転されている700系をベースにしているが、以下の点で異なる。

  • 台湾高速鉄道の需要見込みに合わせ、700系の16両編成に対し12両編成である。
  • 最高速度300km/hに対応するため、主電動機の出力増強を行っている。
  • 700系の先頭形状に対し台湾側から不満の声があったことと、トンネル断面積など線路の規格が欧州陣営の車両も考慮した余裕のあるものとなっているため、先頭形状の変更が行われている。この際、運転台後部の乗務員用扉は省略され、乗客用扉から運転室に入室するようになっている。
  • 暑い台湾の気候に合わせ、冷房効率を上げるため、客室扉の開扉制御が半自動制御とされている。駅に到着すると車掌の扱いにより各客室扉のランプが点灯し、その後乗客がスイッチを操作すると扉が開くようになっている。
諸元
  • 編成:12両(商務車(日本のグリーン車に相当):1両+1等車(日本の普通車に相当):11両)
  • 全長:304.7 m(先頭車:26.75 m,中間車:24.50 m)
  • 全幅:3.380 m
  • 全高:3.650 m
  • 重量:503 t
  • 最大軸重:14.0 t
  • 乗客定員:989人(商務車:66人+1等車:923人)
  • シートピッチ:1,120 mm(商務車)1,040 mm(1等車)
  • MT構成:3M1T×3
  • 電動機出力:285kW×36=10,260 kW
  • 起動加速度:2.0 km/h/s
  • 営業最高速度:300 km/h
  • 信号システム:一段減速デジタルATC

旅々台北【熱門特集】台湾新幹線でGO![台湾高速鉄道]

川崎重工車両カンパニー兵庫工場からの積み出し

(撮影:Captain Teaさん)
製造先の川崎重工車両カンパニー兵庫工場から積み出され、艀に乗せられる台湾新幹線車両。そのまま貨物船に向かう場合と、どこかに仮置きされる場合があった。

仮置き

ポーアイ北公園隣などに仮置きされる新幹線車両。静かにそのときを待つ。(数日程度、置かれていた。)
2005.04.04

台湾新幹線の横にはどこかへ輸出される在来線のディーゼルカーたちが・・・。
2005.04.04

仮置き場からの積み出し
いよいよ積み込みの日。クレーンによって再び台船に載せられた車両たちは貨物船へ。 2005.08.24

貨物船へ
摩耶方面から現れた台湾新幹線車両。貨物船に横付けされ、いよいよ積み込みが始まる。 2005.04.28

貨物船への積み込み
海上輸送は商船三井が担当で、2004年5月18日に第一便が輸出された。
150トン吊り12,000DWT重量物船「Gaia Triumph」、「Poseidon Triumph」の2隻(青い船)が主となって海上輸送を行ったが、何度か別の船(黒い船)が担当した。一度に新幹線完成車輌12輌(一編成)を輸送する。なお、貨物船への積み込み場所は新港第4突堤東岸壁、新港東埠頭が主。ポートアイランドのコンテナバースの時もあった。
商船三井 台湾高速鉄道(台湾新幹線)の車両海上輸送を受注

積み込み前の部材の積み込み。新港第4突堤にて。
2005.01.06

新港東埠頭にて。(撮影:MASAYOさん)

新港第4突堤にて。  2005.04.28

新港東埠頭にて。 2005.02.10

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